概要・仕組み
抗コリン薬でも紹介した通り、発汗に強く影響しているアセチルコリンという神経伝達物質があります。

抗コリン薬(プロバンサイン、プロスパス)
概要・仕組み 脳から「汗を出せ」という命令が出ると、自律神経の一つである交感神経を介して全身に伝わり、交感神経の末端からアセチルコリンという神経伝達物質が分泌されます。このアセチルコリンが汗腺にくっつくと汗が作られ皮膚から汗が出ます。 ...
ボトックス注射もこのアセチルコリンの放出を抑制することで、発汗を抑える効果があります。
一度注射すると4か月~9か月くらい効果が持続します。しかし、高価です。部位と投入量によりますが、保険適用無しで5万円~10万円といったところでしょうか。
2012年から重度の脇の多汗症(専門用語で腋窩(えきか)多汗症)にのみ、保険が適用されます。残念ながら脇以外の部位では保険がきかないため、10割負担となります。
重度の脇の多汗症に該当するか否かの判定は、問診等で以下3つの条件を満たしているかどうかで判断されるみたいです。
- 原因不明の過剰な局所性発汗が6ヵ月以上持続していること
- 以下の6項目中2項目以上を満たすこと
- 両側性かつ左右対称性に多汗がみられる
- 多汗によって日常生活に支障が生じている
- 週1回以上の頻度で多汗エピソードがみられる
- 25歳未満で発症した
- 家族歴がある
- 睡眠時は局所性の発汗がみられない
- 以下のどちらかの基準を満たしていること
- 発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
- 発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある
対象部位
保険が適用されるのは脇のみです。
自費診療であれば、手・足・頭・顔など幅広く適用可能です。頭や顔は対処法が少ないので魅力的ですね。ただし、高いです。
手法
病院で注射を打ってもらうだけです。施術時間は10分程度です。施術後の腫れや痛みはほとんどなく、すぐに帰宅することができ、シャワー・入浴も問題ないです。
発汗抑制の効果は3日~4日後に現れます。効果が安定するまで2週間程度かかることもあります。
以下ボトックス注射のイメージ動画です。片手で30発くらい注射するんですね…。
手のひら多汗症(手掌多汗症)のボトックス注射
メリデメ
メリット
- 1度打てば長く効果が続き、毎日の手間がかからない
- 自費診療となるものの顔・額・頭に適用可能な数少ない治療
- 安全性が高く、副作用がほとんどない
デメリット
- 高い
重度の脇で保険適用で2万~3万、その他だと4万~10万 - 注射が痛い
痛いという意見が多いです。 - 効果がない人もいる
どの治療法もそうですが、「高かったのに効果がなかった」という残念な意見も見ます。 - 病院でしかできない
当然ながら他の治療法と異なり、病院でしか受けられません。
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